advanced MRI/CTの臨床応用と近未来
序説 ● 原田 雅史
近年,学会のセッションやカテゴリーとしてadvanced MRIやadvanced CTといった用語が用いられることがあるが,その内容についての正確な定義づけはなされていないのが現状と思われる.一応ここでは,「advanced MRI/CTとは,従来と異なる技術や装置などを用いて,これまでの画像コントラストと異なる情報を抽出し,生体評価や病態の性状評価を行う手法」と考えておきたい.その多くは従来の解剖学的画像情報ではとらえられない機能や代謝といった情報を評価するものが中心となるが,dual energy CTによるmonochromatic imagingのような新たなコントラスト画像や,面検出器CTによる時間軸情報の応用も,重要なトピックスと思われる.
これらの手法の多くは,取得したオリジナルの画像情報から必要な情報を抽出するために,特殊な解析技術やアプリケーションが必要な場合も少なくない.本特集では,各著者に,これらの新たな撮影技術や装置および解析技術についても簡単な理解が得られるように,必要最低限の解説を行った上で,臨床応用における有用性とともに注意点や問題点を挙げていただいた.
さらに,CTにおいては,検出器の多列化と高速化に伴う被ばく量の増大傾向に対する根本的な対策も必要と考えられるため,最後に画像再構成法の違いによる特徴と低線量撮影についての項目も設けた.本特集は,新しい放射線診断の動向と有用性を,放射線科医や放射線技師などが広く共有するために有用であると考えている.
スピンラベリング法によるperfusion imaging ● 木村 浩彦,山元 龍哉
functional MRIの新たな展開 ● 福永 雅喜
精神神経疾患領域におけるMR spectroscopy ● 住谷 さつき
q space imaging法とdiffusion spectrum imaging法
によるfiber tracking ● 堀 正明,鈴木 雄一ほか
胸部領域におけるultra-short TE ● 大野 良治,西尾 瑞穂ほか
肝MR elastography ● 本杉 宇太郎
頭部領域における面検出器CT ● 木下 俊文
胸部領域におけるdual energy CT ● 三浦 幸子
腹部領域におけるdual energy CT
−monochromatic imagingを中心に− ● 金 東石,堀 雅敏ほか
画像再構成法の違いによる特徴と低線量撮影 ● 赤羽 正章,大友 邦
連載
すとらびすむす
小児画像診断システムの構築 ● 正木 英一
画像診断と病理
後腹膜原発の粘液性嚢胞性腺癌 ● 熊谷 健,渡邊 祐司ほか
ここが知りたい!
画像診断2011年12月号特集
「神経膠腫−診断から治療まで−」● 吉浦 敬
Picked-up Knowledge from Foreign journals
多発性骨髄腫 ● 青木 隆敏
CASE OF THE MONTH
Case of May ● 谷 千尋,伊達 秀二ほか
The Key to Case of March ● 本田 有紀子,伊達 秀二ほか
Refresher Course
生体画像科学の基礎と方向性
−高感度かつ特異的な診断と治療へと向かって− ● 小林 久隆