肺外疾患病変は病変の局在から発生起源を推測し，単純X線写真・CTだけではなく，MRIや核医学検査などの様々なモダリティを組み合わせて具体的な診断を考え，それに基づき追加すべき画像検査，経過観察や組織診断方法，外科手術や化学療法，放射線治療のような治療法などの病変のマネジメント方針を決定していく必要がある．しかし，胸部領域が専門ではない放射線科医や臨床経験の乏しい研修医には，病変の存在を指摘できても，そこからより確からしい診断を導き出すことは難しく，臨床の先生方にとってより良い読影レポートを作成することはハードルの高い課題である．
本特集では，縦隔・胸膜・胸壁のような胸部の肺外病変に焦点を置いて，病変の存在診断だけではなく，質的診断を行う上で必要となるような知識の整理を目標としている．肺外の胸部病変は正常解剖と関連しており，発生部位により好発する疾患が異なる．著者の先生方には，初学者でも理解しやすいように，読影する上で必要な正常解剖や各発生部位でポピュラーな疾患を中心に画像パターンや臨床像を記載していただいた．また，基礎的な胸部の肺外病変は既に理解している先生方にも新たな知見を深められるように，稀な疾患にも言及していただいた．本特集が放射線科医や胸部の画像診断が必要な臨床科医にとって知識を整理する糧となり，日常診療におけるより良い画像診断の参考となれば幸いである．