免疫能低下患者の肺病変
序説
田中 伸幸
近年,AIDS患者や癌患者の増加および癌化学療法の発達などにより,免疫低下患者は増加し,それに伴い,それら患者に発生する肺合併症も増加している.これらの肺合併症には,感染症,薬剤性肺障害,原疾患の肺病変,加えて移植後であれば移植特有の合併症など,枚挙にいとまがない.しかも,画像所見は多種多様でありながら,すりガラス影が高頻度であるため,非特異的でもある.鑑別診断は容易ではなく,胸部放射線科医ですら正確な診断が困難な場合も多い.ましてや,胸部専門外あるいは若手放射線科医にとってはなおさら大きな壁になっているようである.今回のテーマではその解析難解な領域を取り上げ,それぞれの疾患の胸部単純X線所見,CT所見の特徴,他疾患との鑑別のポイントを,なるべくわかりやすく,かつ,詳細に解説することを目的とした.
いずれも意欲あふれる力作であり,この一冊を読んでいただければ,免疫能低下患者の肺病変についての所見を書く際にも,自信を持って望めるような,そんな参考書になり得るものと自負している.
特集
胸部単純X線写真とCTの役割
細菌性肺炎
肺真菌感染症
ニューモシスティス肺炎とウイルス肺炎
結核症
薬剤性肺障害
原疾患の肺病変
移植後合併症
●連載目次●
すとらびすむす
ESURとThomsen教授のこと
鳴海 善文
画像診断と病理
紡錘型腎細胞癌
中井 豪,松木 充ほか
胸部画像診断24のポイント
小さな肺癌はどう見える?
野間 恵之
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
岡田 吉隆
CASE OF THE MONTH
Case of March
與儀 彰,村山 貞之
The Key to Case of January
宜保 昌樹,村山 貞之
画像診断のkey words
Palm tree-like protrusion/
Intracystic fat ball
藤井 進也,金田 祥ほか
Refresher Course
縦隔腫瘤性病変の画像診断
-診断の進め方-
佐土原 順子,藤本 公則ほか