症例から学ぶMRIの基礎
─臨床に直結する知識─
【特集】
序説 ● 青木茂樹
今回は,“症例からMRIの原理を学ぶ”というスタイルの特集を企画した.MRIは種々の撮像法があり,放射線科医はそれに精通して診断に必要な情報を得るために適切な撮像法を指示することが望まれるが,技術の進歩により,それなりの画像が得られることや,技師さんたちが非常に勉強熱心で任せておけることが多いことなどから,放射線科医のMRI技術離れが起きているようである.
放射線科は疾患や部位といった縦断的な日常診療の流れの中で,横断的な貢献を行うことが期待され,モダリティが専門となっている数少ない科である.モダリティに関する深い造詣が望まれるわけだが,原理を基礎から学ぶ時間が取れないことも多く,“症例から学ぶ”というスタイルで,必要最小限の入門となることを期待した.できれば興味をもっていただき,荒木 力先生の教科書『決定版 MRI完全解説 第2版』を読破していただきたい.
本特集で取り上げたものは,結局,T1強調像で高信号(脂肪,出血),T2強調像で低信号(出血,SWI),T2強調像でvery high(水),拡散強調像で高信号(細胞性浮腫)などのMRIが特異的な画像所見に関連したもので,それを呈する疾患をより正確に評価するということにほかならない.MRIでは所見と技術が一体となって発展してきたことが実感できる特集となり,技術にも興味をもってもらえれば幸いです.
脳血管障害 ● 堀 正明,鈴木通真ほか
脳腫瘍 ● 増本智彦
脳変性疾患,その他 ● 櫻井圭太,德丸阿耶ほか
心臓 ● 天野康雄,城 正樹ほか
上腹部 ● 市川新太郎,本杉宇太郎
骨盤 ● 上野嘉子,玉田 勉ほか
骨軟部 ● 稲岡 努,中塚智也ほか
【連載】
すとらびすむす
ラストスパート ● 角谷眞澄
画像診断と病理
肝間葉系過誤腫 ● 清水辰哉,本杉宇太郎ほか
ここが知りたい!
画像診断2016年8月号特集
「画像でみかける偶発的所見のマネジメント─あなたならどう書く?─」
● 浅山良樹,塚田実郎
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
MRIを用いた心臓検査 ● 岡田宗正,松永尚文
CASE OF THE MONTH
Case of January ● 門田善仁,平井俊範ほか
The Key to Case of November ● 岩佐 瞳,田村泰治ほか
救急CT診断演習
第5回 遅発性血胸 ● 木口貴雄
Refresher Course
顔面加齢の画像診断 ● 奥田逸子,中島康雄ほか