骨軟部領域のcommon diseaseの画像スペクトラム
【特集】
序説 ● 青木 隆敏
近年,スポーツ医学や高齢者のQOL向上への関心が高まり,骨軟部領域のCTやMRIが施行される機会が増えてきている.また,画像診断技術の進歩によって各骨軟部領域の複雑な解剖が解析可能となり,整形外科医を中心とする臨床医からは,より詳細な画像診断が要求されるようになっている.
骨軟部領域の画像所見に関する知見は蓄積され,common diseaseの画像の特徴はもちろんのこと,稀な疾患の典型的所見については,日常臨床で遭遇する機会が少なくても教科書から学べるようになってきた.しかし,内容はどうしても典型的所見に偏りがちで,common diseaseの非典型的所見を盛り込むことが難しい.実際の臨床現場では,典型的所見を示す稀な疾患よりも,非典型的所見を示すcommon diseaseに遭遇する機会の方が多い.例えば,軟部腫瘍であれば典型的な胞巣状軟部肉腫を診断する機会よりも,変わった画像所見を示す血管腫や神経鞘腫に遭遇する機会の方が圧倒的に多い.これは骨軟部領域のどの部位や疾患群でも当てはまろう.
本特集号は,診療への寄与が大きいcommon diseaseのバリエーションを認識することをねらいとして企画した.第一線でご活躍の先生方にお願いし,日常臨床でよく遭遇する疾患について,基本的知識や典型的所見を述べていただいた上で,いかに多彩な画像所見を呈しうるのか,ピットフォールに陥らないための診断のポイントは何かなどを記載していただいた.バリエーションの認識はcommon diseaseの本質的な病態・病理の把握につながり,画像の成り立ちを含めた知識の整理にも役立つと確信する.
脊椎 ● 福田 健志,有泉 光子ほか
肩関節 ● 野崎 太希,田崎 篤ほか
肘・手関節 ● 橘川 薫,岡本 聡子ほか
股関節 ● 川原 康弘,上谷 雅孝
膝関節 ● 稲岡 努,工藤 秀康ほか
足関節 ● 小橋 由紋子,尾尻 博也ほか
感染症 ● 神島 保
転移性骨腫瘍 ● 中田 和佳,杉本 英治
軟部腫瘍 ● 長田 周治,西村 浩ほか
【連載】
すとらびすむす
論文執筆について最近考えること ● 外山 宏
画像診断と病理
胎盤分葉状解離性平滑筋腫 ● 竹内 麻由美,松崎 健司ほか
ここが知りたい!
画像診断2013年10月号特集
「画像からせまる呼吸器感染症」● 岡田 文人,小林 紀子ほか
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
転移性肝腫瘍 ● 岡田 吉隆
CASE OF THE MONTH
Case of March ● 丸上 永晃,吉川 公彦
The Key to Case of January ● 三浦 幸子
Refresher Course
閉塞性肺疾患のCTによる定量解析 ● 松岡 伸,山城 恒雄ほか