膵炎・膵腫瘍の画像診断
─稀な疾患との鑑別も含めて─
序説 ● 角谷眞澄
画像診断は非侵襲的モダリティの開発と進歩により,著しく普及した.膵は,その恩恵を大きく受けた深部臓器のひとつで,超音波検査,CTおよびMRIの登場と装置や撮像法の向上により,様々な疾患の存在診断,鑑別診断,進展度診断の精度が飛躍的に向上した.
本誌「画像診断」では,2010年11月号に蒲田敏文先生(金沢大学放射線科)の企画で「膵腫瘍の画像診断と病理・病態」という特集が組まれた.膵管癌の画像診断と病理の対比を中心とする素晴らしい内容で,日々の臨床に大いに役立つ1冊となっている.しかし,当時から3年近くがたったこともあり,今回は,頻度が高く遭遇する機会の多い,急性膵炎,慢性膵炎(自己免疫性膵炎),通常型膵癌(浸潤性膵管癌),膵内分泌腫瘍,膵漿液性嚢胞腫瘍,膵管内乳頭粘液性腫瘍および膵粘液性嚢胞腫瘍の画像診断を中心に,鑑別を要する稀な疾患も取り上げ,さらに広く臨床に寄与できる特集を企画し,それぞれの領域のエキスパートにご執筆いただいた.また,膵腫瘍の画像診断に際しては,鑑別のポイントとなる特徴的病理所見について,膵腫瘍の病理診断学の権威のお一人である福嶋敬宜先生に解説をお願いした.
どの論文も秀逸であり,膵疾患の診療に携わる臨床医が“膵疾患を画像でくまなく診断する”のに役立つ特集になったと確信する.多忙な中,快くご執筆いただいた先生方に誌面を借りて改めて御礼申し上げるとともに,読者の先生方には座右の書としてぜひとも活用いただきたい.
急性膵炎 ● 蒲田 敏文
慢性膵炎 −自己免疫性膵炎を中心に− ● 藤田 顕,藤永 康成ほか
膵腫瘍の病理診断 ● 福嶋 敬宜
膵管癌 ● 松本 俊郎,森 宣ほか
膵内分泌腫瘍 ● 市川 新太郎,木村 一史ほか
膵漿液性嚢胞腫瘍 ● 入江 裕之,中園 貴彦ほか
膵管内乳頭粘液性腫瘍 ● 肱岡 範,原 和生ほか
膵粘液性嚢胞腫瘍 ● 石神 康生,西江 昭弘ほか
連載
すとらびすむす
“すい”と“いき” ● 松枝 清
画像診断と病理
心臓アミロイドーシス ● 中村 壮志,城戸 倫之ほか
ここが知りたい!
画像診断2013年2月号特集
「肩関節疾患の画像診断:MRI+α」● 野崎 太希,山口 哲治
CASE OF THE MONTH
Case of July ● 阿部 博和,北川 覚也ほか
The Key to Case of May ● 渋谷 剛一,小野 修一ほか
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
CTを用いた冠動脈閉塞および狭窄の評価
● 岡田 宗正,松永 尚文
Refresher Course
脳幹の画像解剖と病変 ● 北島 美香,山下 康行