小児のcommon diseaseの画像スペクトラム
─そうだったのか,小児画像─
序説 ● 赤坂 好宣
本企画では,小児放射線の世界の中で大きな位置を占める疾患を選んだつもりである.他に気管支炎や川崎病,先天性心疾患などcommonな疾患は多々あるが,専門でない放射線科医でも,より画像を通してかかわることのできる疾患を選択した.とりわけ,“虐待”については,common diseaseとして違和感を覚える方もおられるかもしれないが,小児放射線の世界では大きな位置を占め,画像診断とのかかわりが非常に大きい.放射線科医の役割も重要である.詳細は本稿を読んでいただきたいが,私も15年ほど前,今なら虐待を疑ったであろう硬膜下血腫のCTを見て,虐待とは関係なく「子供に多い疾患だな」と感じていたことが思い出される.虐待は表に出るより実数は多く,常に小児を巡る環境では念頭に置くべきものである.虐待の実態についても臨場感をもって説明していただけるよう第一人者の小熊栄二先生にこの領域のガイド役をお願いした.その他のご執筆の先生方にも,疾患の理解に役立つよう臨床上の基礎知識を少し挿入していただくことをお願いした.
本号を読むことで,暗い小児放射線の世界に明かりがともって,全体像が見えてくることにより苦手意識が薄れ,少しでも多くの放射線科医がこの世界へ足を運んでいただけるよう期待する.そこで“そうだったのか!”と感じることにより,また行きたくなってくれれば望むところである.
一方で,若い画像診断医を育てる立場にある放射線科医にも,“ちょっと行ってこい”と小児放射線の見学に背中を押していただくことを切に願う.
頭部外傷 ● 山口 善道
虐待 ● 小熊 栄二
いわゆる血管腫 ● 渡部 茂
神経線維腫症と結節性硬化症 ● 上條 崇裕,佐瀬 航ほか
虫垂炎 ● 野坂 俊介,宮坂 実木子ほか
水腎症,尿路感染症 ● 宮坂 実木子
二分脊椎 ● 安藤 久美子,石藏 礼一ほか
骨髄炎,関節炎 ● 小山 雅司
連載
すとらびすむす
11月8日 ● 本田 浩
画像診断と病理
胆管細胞癌(肝内胆管癌) ● 金子 揚,平野 隆ほか
ここが知りたい!
画像診断2012年8月号特集
「肝細胞癌治療の現状と画像診断」● 川田 紘資,穴井 洋
Picked-up Knowledge from Foreign journals
冠動脈石灰化指数 ● 岡田 宗正,松永 尚文
CASE OF THE MONTH
Case of January ● 清野 浩子,小野 修一
The Key to Case of November ● 庄内 孝春,荒谷 和紀ほか
Refresher Course
肩関節読影に必要な画像解剖とキネマティクス ● 野崎 太希,田﨑 篤ほか