泌尿器・婦人科画像診断step further
−低侵襲治療時代の主治医の視点−
序説 ● 高橋 哲
画像診断にはスクリーニング的要素も常に含まれるが,本来は治療方針・戦略の決定にかかわる情報を得るために行うべきものである.画像診断の結果にかかわらず治療方針が同じならば,診断名がつくとしても画像診断を行う意義は乏しい.逆に,診断名が変わらなくても,治療方針を変える情報は重要である.したがって,我々画像診断医は主治医が選択しうる治療方針・手技を理解し,その決定にかかわる情報を提供するように心がけなければならない.
今回の特集タイトルは,“泌尿器・婦人科画像診断step further−低侵襲治療時代の主治医の視点−”と,鑑別や病期診断のための画像診断から踏み込んで,低侵襲治療が普及してきた今日,術前シミュレーションや治療方針の決定に際して主治医は画像に何を期待しているのかを理解することを目標とした.本来は泌尿器科医や産婦人科医から直接話を伺うことが望ましいのであろうが,逆に画像からの視点が弱くなってしまう.そこで,日頃のカンファレンス中に学んだ主治医の視点を,画像診断医の立場から解説いただくことで,画像診断医と主治医の両方の視点を学ぼうというわがままな企画となってしまった.
関西には“関西GUR研究会”という泌尿器・産婦人科領域の症例検討を中心とする研究会がある.日常臨床で主治医とのカンファレンスを通して信頼を積み重ねておられる画像診断医ならではの観点がちりばめられた,大変素晴らしい論文をお寄せいただいた.これらの論文が,読者の皆様が主治医の視点を理解するきっかけとなれば幸いである.
腎・副腎の低侵襲治療に対する術前画像診断 ● 丸上 永晃,高濱 潤子ほか
尿路上皮腫瘍−画像診断とピットフォール− ● 高橋 哲,北島 一宏ほか
前立腺癌−手術前に知りたい画像情報− ● 北島 一宏,高橋 哲ほか
前立腺肥大症 ● 吉廻 毅,北垣 一ほか
子宮筋腫−治療法を見据えたMRI診断− ● 高濱 潤子,丸上 永晃ほか
子宮悪性腫瘍 ● 堀 雅敏,金 東石ほか
卵巣腫瘍 ● 竹内 麻由美,松崎 健司
子宮内膜症 ● 松木 充,東山 央ほか
連載
すとらびすむす
ワイン,友,師,いい出会い ● 古川 顕
画像診断と病理
肺Langerhans細胞組織球症 ● 西松 佳代,石守 崇好ほか
ここが知りたい!
画像診断2011年10月号特集
「膜の局所解剖と画像診断」● 秋田 恵一,竹口 隆也
投稿 症例
焦点側視床枕と対側小脳に遠隔効果が見られた
てんかん重積の1例 ● 北島 慶子,桂木 誠ほか
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
腹部鈍的外傷 ● 岡田 吉隆
CASE OF THE MONTH
Case of March ● 本田 有紀子,伊達 秀二ほか
The Key to Case of January ● 谷為 恵三,谷為 乃扶子ほか
Refresher Course
脳血管に関連するバイオマーカーとしての画像診断 ● 安陪 等思,広畑 優ほか