軟部組織・関節の非腫瘍性疾患
序説 ● 福田 国彦
骨格筋が人体の体重に占める割合は,およそ30%である.決して少ない量ではないが,単純X線写真やCTで筋肉は水濃度の無構造な組織として描出されるため,得られる情報は少ない.そのため,長い間,筋外傷,筋炎,および筋膜疾患の中で画像診断の対象となるのは骨化性筋炎などごく一部に限られていた.今やこれらの疾患についても好発部位やMRIの特徴的所見を知っておく必要性が出てきた.
今回は骨軟部放射線診断領域でも,比較的馴染みの薄い筋・筋膜疾患,インピンジメント症候群,神経絞扼障害を取り上げた.いずれも画像診断には比較的新しい分野で,その知見が集積されるようになったのは,四肢領域にMRIが普及したこの20年くらいのことである.特にインピンジメント症候群と神経絞扼症障害では,出来るだけ正常解剖と比較させていただけるように執筆の先生方にお願いをした.重ね重ねの無理なお願いに応えていただいた結果,力作ぞろいとなった.本特集を読者諸氏の診療に役立てていただければ幸いである.
特集
筋外傷 ● 土肥 美智子
筋肉の炎症 ● 岩間 祐基,藤井 正彦ほか
筋膜疾患 ● 藤本 肇
肩関節のインピンジメント症候群 ● 米永 健徳,小橋 由紋子ほか
股関節のインピンジメント症候群 ● 名嘉山 哲雄,江原 茂
足関節のインピンジメント症候群 ● 小橋 由紋子,米永 健徳ほか
上肢の神経絞扼障害 ● 上谷 雅孝
下肢の神経絞扼障害 ● 重本 蓉子,原田 祐子ほか
連載
すとらびすむす
言葉で伝えることの難しさ ● 粟井 和夫
画像診断と病理
胸腺リンパ管腫 ● 荒川 浩明
ここが知りたい!
画像診断2011 年3 月号特集
「胆道画像診断のコモンセンス」● 竹原 康雄,中村 功一ほか
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
胸部CT の被ばく線量低減 ● 小野 修一
Case of the Month
Case of August ● 山﨑 郁郎,河村 泰孝ほか
The Key to Case of June ● 笹栗 弘平,入江 裕之ほか
Refresher Course
情報学基礎─ デジタル画像情報の基礎─ ● 江本 豊