【特集】
序説 ● 鹿戸将史(山形大学医学部放射線医学講座)
本特集は,脳梗塞や出血など,脳疾患におけるいわゆる“common disease”の中で,他の背景を有し,他の疾患と見間違える可能性のある非典型的な画像所見について焦点を当てることを目的としました.例えば,脳出血の背景には高血圧だけではなく,脳アミロイド血管症,腫瘍や血管奇形など様々な背景が存在します.日常臨床で読影をしていると,疾患は一様ではないと痛感させられることがしばしばです.本特集を組むにあたり,“common disease”に“脳梗塞”,“脳出血”,“脳動脈瘤・硬膜動静脈瘻”,“悪性腫瘍”,“良性腫瘍”,“脱髄性疾患”,“感染・炎症”という日常臨床で遭遇する頻度の高い疾患を想定し,それぞれについてエキスパートの先生方から疾患に関する非典型画像についてご解説いただきました.
まず,鈴木通真先生からは,脳梗塞とその類似・関連疾患についてご解説いただきました.特に,静脈洞血栓症は重要だが見過ごされがちな疾患であり,ポイントを押さえてご執筆いただきました.栗原紀子先生には脳出血に関して,脳アミロイド血管症から硬膜動静脈瘻まで非常に多岐にわたる背景を挙げて,豊富な症例提示ともに詳細にご解説いただきました.会田和泰先生からは,脳動脈瘤の中でも巨大動脈瘤についてご執筆いただくとともに,硬膜動静脈瘻や脳動静脈奇形,もやもや病などについて詳細にご解説いただきました.黒川 遼先生には,悪性脳腫瘍の進展パターンを詳細にご解説いただくとともに,up to dateな情報を原稿に盛り込んでいただきました.鈴木文夫先生からは,非典型的な部位に発生する髄膜腫の症例をご提示いただき,その他の神経鞘腫や頭蓋咽頭腫などについてもご解説いただきました.また,WHO分類で新たに登場した下垂体神経内分泌腫瘍という用語についても言及していただきました.大浦達史先生には,多発性硬化症,視神経脊髄炎,MOG抗体関連疾患,急性散在性脳脊髄炎の脱髄性疾患における鑑別のポイントを詳細にご解説いただきました.清水哲也先生からは,遭遇頻度の高い単純ヘルペス脳炎の非典型例だけでなく,リステリア症など稀な感染症や自己免疫性脳炎の貴重な画像をご提示の上,解説していただきました.
最後になりましたが,ご多忙の中,本特集の意図にご賛同くださりご執筆いただいた先生方には,心から感謝申し上げます.どの原稿も豊富な症例提示と詳細な解説で,素晴らしい特集になったと編者として確信しています.また,読者の先生方におかれましても,本特集を日々の読影にぜひお役立ていただければ本望です.
序説 ● 鹿戸将史
脳梗塞と類似・関連病変 ● 鈴木 通真,菊地 奈央 ほか
脳出血 ● 栗原 紀子
脳動脈瘤・硬膜動静脈瘻など ● 会田 和泰,赤澤 健太郎
脳腫瘍(悪性腫瘍編) ● 黒川 遼
脳腫瘍(良性腫瘍編) ● 鈴木 文夫
脱髄性疾患 ● 大浦 達史,立川 裕之 ほか
感染・炎症 ● 清水 哲也,サラモン 典子
【連載】
すとらびすむす
「趣味は?」と聞かれても… ● 野坂 俊介
画像診断と病理
悪性顆粒細胞腫 ● 徳永 伸子,菅原 敬文 ほか
ここが知りたい!
画像診断2023 年11 月号特集「これであなたも名探偵! 転移の画像所見から原発巣を当てる」
● 山内 哲司,中井 雄大
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
アミロイド関連画像異常(ARIA)と脳微小出血● 掛田 伸吾
Case of the Month
Case of April ● 池之内 穣,佐藤 典子
THE KEY TO Case of February ● 加賀谷 理紗,佐藤 典子
続General Radiology 診断演習
原点回帰 ● 乗本 周平
読影レポートLesson
呼吸器編「多発すりガラス影」 ● 西本 優子
Refresher Course
骨系統疾患の画像診断 ● 宮嵜 治