“現場的”外傷画像診断とIVR〜命を救うRadiologyのチカラ
CTを中心とした外傷画像診断およびIVRの知識を,各分野のエキスパートが熱く解説!
救急現場に出ていく上でのハンドブックとなる必携の一冊.
【特集】
序説 ● 一ノ瀬嘉明(国立病院機構災害医療センター 放射線科)
外傷診療は救急医療の中でも重症患者の時間的な変化量が大きい,ダイナミックな診療分野のひとつです.その変化のスピードや方向性を察知し,迫りくる脅威を先読みしながら,先手を打って行動することが求められます.時間的な変化量が大きいということは,画像が表す(撮影時点での)患者状態と今目の前にしている現在の患者状態がかけ離れていくスピードが早く,画像診断の新鮮さが重要になります.撮影された画像がすぐに診療に活かされ,またタイミングを逃さずIVRで重症患者を救うためには,診療現場にリアルタイムに関与する“現場的”なRadiologyが必要であり,救急放射線の中で最も“現場的”であることが求められるのが外傷診療です.
『画像診断』2013年12月号で「Trauma Radiology入門−外傷の画像診断とIVR−」が特集されて以降,10年間で外傷診療におけるCTを中心とした画像診断およびIVRの位置づけはさらに高まっています.言い換えれば,外傷診療現場の最前線で我々がその“チカラ”を注ぎ込むことで,診療の質の向上に寄与できるチャンスが広がってきているともいえます.外傷診療ではどのようなRadiologyが求められていて,どのように関わっていけばよいか,“Radiologyのチカラ”をどう活かせば救命につながるのか,できるだけ現場的・実践的なエッセンスを伝えたいというのが本書のねらいです.
外傷診療は多職種が連携するチーム医療であり,放射線科医だけでなく,救急医や外傷医を志す若手医師,診療放射線技師や看護師などコメディカルの方々にも幅広く手にとっていただき,本書がチームビルディングや理念の共有を促進する一助となれば幸いです.
(一部抜粋)
1章 外傷診療に携わる上で知っておきたいこと
1 外傷止血の両輪と時間の概念 ● 渡部広明
2 救急・外傷の疫学と未来 ● 篠塚 健
3 外傷診療現場で求められるRadiology のチカラ:読影室を出よ ● 松本純一,服部貴行
4 外傷診療に参加する上で知っておきたい合言葉 ● 比良英司
5 血行動態と凝固障害を先読みする ● 船曵知弘
2章 外傷画像検査のエッセンスと未来
1 ポータブル写真でどこまで読めるか ● 細井康太郎
2 Trauma Ultrasound:EFAST を中心に ● 瀬良 誠
3 外傷パンスキャンのプロトコール ● 田中善啓
4 ハイブリッドER で診療ストラテジーはどう変わるか ● 丸山修平,中森 靖
5 外傷症例におけるMRI ● 井上明星
6 外傷画像診断におけるAI の可能性 ● 岡田直己
3章 いざ外傷診療の最前線へ
1 来院前~初期診療 ● 昆 祐理
2 CT コンソール読影[advanced FACT] ● 一ノ瀬嘉明
3 CT 撮影後~ IVR 開始 ● 平木咲子,一ノ瀬嘉明
4章 外傷CT 読影―ここに注意!
1 頭部・顔面 ● 外山芳弘
2 頸部・胸部 ● 妹尾聡美
3 腹部 ● 棚橋裕吉,尾﨑公美,市川新太郎,五島 聡
4 骨盤・脊椎 ● 渋谷 圭
5章 外傷IVR の実践的な戦略と戦術
1 どこから止める? ● 一ノ瀬嘉明
2 どう止める? ● 上嶋 聡,池田慎平,八方政豪,嶺 貴彦
3 外傷IVR におけるピットフォール ● 平野貴規,和田 武,近藤浩史
4 血管損傷におけるステントグラフト治療 ● 岡田卓也
5 REBOA はいつ使う? どう使う? ● 松村洋輔
6章 実症例で学ぶ! DCIR case review
Case 1 不安定型骨盤骨折に対してCT をスキップしDCIR を行った症例 ● 大杉真也,一ノ瀬嘉明
Case 2 重症肝損傷に対してdamage control surgery とdamage control IVR を併用した症例 ● 臼井亮介
Case 3 様々な用途でREBOA を駆使してDCIR を行った症例 ● 丸橋孝昭
Case 4 ハイブリッドER システム導入前後での診療の変化 ● 小出 裕,川﨑竜太,田口裕司,当麻美樹