【特集】
序説 ●平井俊範(熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学講座)
本特集の第1弾は2015年9月号に青木茂樹先生が特集企画され,大変好評を得ており,今回はその第2弾となる.頭部の疾患は他臓器と比べ多く複雑であり,CT,MRIによる画像診断が不可欠である.画像診断にかかわる者はある程度の素養が必要であるが,網羅的に勉強するチャンスは少なく,ビギナーに限らずQ&Aスタイルの有用性は高いと考える.本特集のクエスチョンのみを読んでいただいても,きっとお役に立つものと確信する.
本特集では,第1弾の特集内容,『画像診断ガイドライン2021年版』や研修医からのクエスチョンを参考にして,42個のQ&Aを組んだ.第1弾の内容で再認識が必要と思われる項目は,アップデートして再度第2弾にも採用した.“脳動脈破格の診断”のポイントや“脳実質内・外腫瘤の鑑別”のコツのようなクエスチョンに対しては,内野晃先生や岡本浩一郎先生のようなベテランに,『画像診断ガイドライン』のクエスチョンに対してはその執筆者にお願いし,また,神経放射線学分野で活躍中の若手,エキスパートからベテランの先生方にご執筆いただいた.ビギナー向けの企画ではあるが,一部のQ&Aはビギナーの域を超えて,日常診療に役立つ最先端の知見を盛り込んだものや,熱い思いを込めて読者に訴えるものまで様々である.当初期待していたもの以上に素晴らしい内容で,ベテランの方にも楽しめる企画になったと自負している.
最近の画像診断に関する勉強会やセミナーでは,オンラインを含めると数百名の聴衆を集めることもあるが,画像診断のビギナーにとっては,それらを十分理解できる基礎知識がまず不可欠である.頭部の画像診断の基本においては,正常解剖の把握から始まり,病変の検出(形態や信号強度/吸収値の異常を示す腫瘍,血管障害などの検出),そしてその鑑別診断を考える.中でも「なぜ,そのように考えるのか?」の根拠となる知識を身につけることが重要である.
これから頭部画像診断の勉強をするビギナーの方,頭部が苦手と感じている研修医や専門医の皆様において,このQ&Aで一通り弱点を補い,王道の画像診断を歩んでいただけたら幸いである.
序説 ● 平井 俊範
●1 検査の基本 -適応・撮像法-
Q1. MRAの撮像法(TOF,PC,MR-DSA 法)の簡単な原理,
それぞれの利点と欠点を教えてください.● 上谷 浩之,平井 俊範
Q2. 造影MRIの適応や副作用について教えてください.● 小路田 泰之,神田 知紀 ほか
Q3. 救急疾患におけるMRIの役割は何ですか? ● 北口 知明,安池 政志ほか
Q4. 小児頭部外傷における画像検査の適応と読影のポイントは何ですか? ● 古川 理恵子
Q5. FLAIR像での血管内の高信号は何を示しますか?急性期脳梗塞疑いで撮像されるのはなぜですか? ● 豊田 圭子
Q6. 転移性脳腫瘍のスクリーニングに必要な画像検査は何ですか? ● 田岡 俊昭
Q7. てんかんの時にはどのような画像検査を行いますか? ● 佐藤 典子
Q8. 脳梗塞超急性期の検査のポイントを教えてください.● 沖 達也
●2 解剖・正常変異 -部位別の鑑別診断-
Q1. 読影に必要な局所脳機能解剖(運動野と錐体路)について教えてください.● 國松 聡
Q2. 読影に必要な局所脳機能解剖(言語野と関連白質)について教えてください.● 雨宮 史織
Q3. 読影に必要な局所脳機能解剖(視覚野と視路)について教えてください.● 北島 美香
Q4. 読影に必要な脳神経の解剖とその観察方法について,簡単に教えてください.● 浮洲 龍太郎
Q5. 脳動脈の破格について教えてください.● 内野 晃
Q6. おさえておくべき正常変異,“don’t touch lesion”を教えてください.● 長谷川 知仁,吉浦 敬
Q7. 疾患と誤りやすいアーチファクトを教えてください.● 森 墾
Q8. 硬膜外腔,硬膜下腔,くも膜下腔はそれぞれMRIでどのように描出されますか? ● 菊地 一史
Q9. 拡張した血管周囲腔はどのように診断し,どのようにレポートに書きますか? ● 與儀 彰,上地 栄輝
Q10. くも膜顆粒はMRIでどのようにみえますか? ● 外山 芳弘
●3 所見別
Q1. リング状増強効果をみたら何を考えますか? ● 鹿戸 将史
Q2. 脳内の点状・線状の血管周囲腔に沿う病変をみたら何を考えればよいですか? ● 黒川 遼
Q3. T2強調像で著明な高信号をみたら何を考えますか? ● 大谷 紗代,伏見 育崇
Q4. T2強調像で低信号をみたら何を考えますか? ● 海野 真記,前田 正幸
Q5. T1強調像で高信号をみたら,どのように考えますか? ● 小路田 泰之,神田 知紀 ほか
Q6. 拡散強調像で高信号になるのはどのような病態ですか? ● 栂尾 理
Q7. 左右対称性の基底核病変をみたら何を考えますか? ● 木村 有喜男,千葉 英美子ほか
Q8. トルコ鞍内・鞍上部腫瘤はどのように考えればよいですか? ● 榎園 美香子
Q9. 松果体部腫瘤はどのように考えればよいですか? ● 大原 有紗,土屋 一洋
Q10. 小脳橋角部腫瘤はどのように考えればよいですか? ● 東 美菜子
Q11. 成人の大脳白質病変について教えてください.● 森本 笑子
Q12. 小児の白質病変をみたら,どのように考えたらよいですか? ● 髙梨 潤一
Q13. 磁化率強調像,T2*強調像の低信号スポットをみたら,何を考えますか? ● 井手 智,掛田 伸吾
●4 疾患別
Q1. MRAにおいて脳動脈瘤を見逃さないためのコツは何ですか? ● 渡邉 嘉之
Q2. 臨床的に求められる脳梗塞の分類を,画像診断ではどのように行えばよいのでしょうか? ● 飯田 悦史,古川 又一
Q3. 脳実質内腫瘍と脳実質外腫瘍の鑑別のコツを教えてください.● 岡本 浩一郎
Q4. 脳腫瘍術後早期のMRIにおける注意点を教えてください.● 五明 美穂,土屋 一洋
Q5. 最近改訂された『脳腫瘍WHO分類 第5版』(WHO 2021)で覚えておくべきことは何ですか? ● 原田 太以佑
Q6. 放射線壊死と腫瘍再発の鑑別のポイントを教えてください.● 増本 智彦
Q7. もやもや病に類似する疾患を教えてください.● 和田 昭彦,原 祥子
Q8. 静脈の生理的逆流と硬膜動静脈瘻(AVF)の鑑別はどのようにしたらよいですか? ● 掛田 伸吾
Q9. パーキンソニズムを呈する疾患を教えてください.● 鎌形 康司
Q10. 認知症スクリーニングにおいて,どこに注意して何と書けばよいでしょうか? ● 櫻井 圭太,金田 大太 ほか
Q11. 免疫不全の可能性がある患者の脳病変で,注意すべきことを教えてください.● 前田 正幸
【連載】
すとらびすむす
サイボーグ ● 粟井 和夫
画像診断と病理
大網原発の孤立性線維性腫瘍 ● 比嘉 大地,土屋 奈々絵 ほか
ここが知りたい!
画像診断2022年8月号特集
「骨軟部画像診断― 珠玉の症例集」● 橘川 薫,島村 泰輝
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
心筋と大動脈 ● 宇都宮 大輔
CASE OF THE MONTH
Case of December ● 浅原 涼子,野澤 久美子
The Key to Case of October ● 岡島 幸紀,柳澤 新 ほか
続General Radiology診断演習
真実は細部に宿る ● 木口 貴雄
読影レポートLesson
頭部編「 脳静脈・静脈洞血栓症」● 勝部 敬,河原 愛子