ビギナーのための胸部画像診断
―Q&Aアプローチ―
本特集をもとに項目を追加し,内容を更に充実させて,2016年4月に,新たに単行本として発行しています.
【特集】
序説 ● 髙橋 雅士
胸部の画像診断に多くの放射線科医が尻込みするのは,意味づけをすべき所見の多くがとても非特異的であるからである.多くの場合,胸部の画像診断は胸部単純X線写真とCT(HRCT)でほぼこと足りてしまう.これは,胸部が,空気(肺),水(縦隔),カルシウム(骨)からなる高コントラストの臓器であり,X線の恩恵を最も受けやすい臓器であるからに他ならない.しかし,胸部画像診断は純粋な影絵の診断にならざるをえず,結果として,多くの陰影は非特異的なものばかりで,特異的な診断に直結することの難易度が格段に高くなってしまう.特発性間質性肺炎の診断では臨床−画像−病理によるmultidisciplinary approachが提唱されているように,胸部の画像診断では臨床所見を考慮しながら総合的に判断しないとなかなか正解にたどり着かないのはこのためである.
本特集では,本屋に行けば必ず目にするQ&Aスタイルをあえて採用した.まず,教室の後期研修医に“胸部の画像診断で,先生が今一番知りたいことは何?”という質問をぶつけ,彼らが本当に知りたい基礎的な事項を把握した.そして,それらを参考に,胸部を専門としない放射線科医の先生方にも共通するquestionを考えてみた.“要するに何のことなの?”“結局何が大事なの?”という先生方の半分怒った顔を想像しながらである.おそらく,これ以上親切すぎる,おせっかいな胸部画像診断の特集はないと思う.ただし,このままではただの浅薄な特集になってしまうので,それを補う意味でも,執筆者には超一流の先生方にお願いした.読者の先生方には短い行間から滲み出る職人のメッセージを感じ取っていただけると幸いである.
基本的な用語 ● 負門 克典,松枝 清ほか
シルエットサイン ● 芦澤 和人,林 秀行ほか
肺内病変分布 ● 佐藤 嘉尚,栗原 泰之
肺野結節 ● 楠本 昌彦
肺門部肺癌 ● 高林 江里子,高橋 康二
肺癌のTNM分類 ● 渡辺 裕一,荒井 保明ほか
縦隔腫瘤 ● 原 眞咲
感染症 ● 田中 伸幸 / 氏田 万寿夫
間質性肺炎 ● 藤本 公則
リンパ路病変 ● 西本 優子
気道疾患・COPD ● 髙橋 雅士
膠原病肺 ● 荒川 浩明
職業性肺胸膜病変 ● 加藤 勝也
アレルギー性肺病変 ● 本多 修
肺の循環異常 ● 星 俊子
先天性疾患 ● 三角 茂樹
HRCTの各種サイン ● 松迫 正樹 / 坂井 修二
【連載】
すとらびすむす
スマホ時代に思う ● 吉浦 敬
画像診断と病理
気管グロムス腫瘍 ● 木下 知, 冨永 循哉ほか
ここが知りたい!
画像診断2014年2月号特集
「個別化治療時代の肺癌画像診断」 ● 楠本 昌彦,松尾 芳雄
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
経カテーテル大動脈弁留置術/ 経カテーテル大動脈弁置換術に
関する画像所見 ● 岡田 宗正,松永 尚文
CASE OF THE MONTH
Case of July ● 長田 久人
The Key to Case of May ● 丸上 亜希,吉川 公彦
【新連載】英語発表は怖くない
第1 回 ● 前田 恵理子
Refresher Course
転移性脳腫瘍の画像診断 ● 加藤 裕美子,麦倉 俊司ほか