年齢別特徴をふまえた脳神経画像診断
─小児から成人まで─
序説 ● 大場 洋
どの領域の画像診断でも,患者の年齢というのは,鑑別診断に欠かせない重要な因子だと思う. WHOの脳腫瘍の教科書(WHO Classification of Tumours of the Central Nervous System)を見ていると,小児脳腫瘍の代表である髄芽腫でも60歳台の発症がある.常に例外があることを考慮しつつ,年齢はやはり重要な因子であることに間違いがない.
この特集では,脳神経疾患の各領域別に,年齢別の特徴を考慮した解説を各執筆者にお願いした.脳腫瘍は数年ごとに新しい腫瘍がWHO分類に登録されている.2007年WHO分類をふまえて青木茂樹先生にわかりやすく解説していただいた.頭部外傷,虐待は年齢によって異なる背景・画像を呈する.早川克己先生に詳しく解説していただいた.感染症の起因菌,原因ウイルスは年齢によって大きく異なる.松木充先生に詳しく解説していただいている.脳炎・脳症は近年,次々に新しい疾患概念が登場している.前田正幸先生に新しい疾患概念も含めてわかりやすく解説していただいた.脱髄性・薬剤性・中毒性疾患も多くの背景や好発年齢がある.鹿戸将史先生に詳細に解説していただいた.先天代謝・神経変性疾患は小生が解説した.基本的に中高年に多い脳血管障害については若年性梗塞に絞って,森墾先生に詳細に解説していただいた.また,最近重要度の増してきている胎児診断も取り上げ,丹羽徹先生に詳しく解説していただいた.全体としても年齢別の構成となっている.
執筆の先生方には,難しい課題・作業もあったと思うが,上手にまとめていただいた.心より御礼申し上げます.お陰様で素晴らしい出来となったと思う.読者の皆様にとっても手ごたえのある内容となっていると確信している.
本特集が,多彩な脳神経画像診断の一助となれば幸いである.
脳腫瘍 ● 青木 茂樹,堀 正明ほか
頭部外傷,虐待 ● 早川 克己
感染症 ● 松木 充,藤谷 哲也ほか
脳炎・脳症−近年提唱された症候群を中心に− ● 前田 正幸
脱髄性・薬剤性・中毒性疾患 ● 鹿戸 将史,細矢 貴亮
先天代謝・神経変性疾患 ● 大場 洋
若年性脳血管障害 ● 森 墾,國松 聡ほか
胎児の画像診断 ● 丹羽 徹,相田 典子ほか
連載
すとらびすむす
おかげさま ● 藤井 正彦
画像診断と病理
乳腺原発悪性リンパ腫 ● 渡嘉敷 唯司,五十嵐 隆朗ほか
ここが知りたい!
画像診断2012年6月号特集
「おさえておきたい脊椎・脊髄画像診断の基本」 ● 藤本 肇,神島 保ほか
Picked-up Knowledge from Foreign journals
骨軟部−絞扼性神経障害− ● 青木 隆敏
CASE OF THE MONTH
Case of November ● 庄内 孝春,荒谷 和紀ほか
The Key to Case of September ● 宇佐見 陽子,廣川 直樹ほか
Refresher Course
大動脈疾患そしてステントグラフト
−放射線診断医が心得ておくべきことの再確認− ● 本多 正徳