色覚バリアフリー化の取り組みについて
ここ最近,学校での色盲検査の廃止など,色覚障害(いわゆる色盲.色覚異常という語句も使われます.)の方々に対しての配慮がなされつつあります.学校での色盲検査は色覚障害の方への差別につながる恐れがあるとして,廃止されましたが,色覚障害の方への配慮をするというのであれば,検査の廃止よりも世の中全体の色づかいを見直さなければ,根本的な解決とはなりえません.また,「色覚障害」という言葉自体「色盲」=「障害」と捉えており(「色覚異常」でも同様),色盲男性が日本人男性の約5%ということから考えると,「障害」あるいは「異常」とすること自体に問題があります.5%という多数の方が色盲である以上,これは「色覚タイプ」という語句が適切と言えます(*1).
そこで月刊「細胞工学」では,2002年6月22日発行の7月号(Vol.21 No.7)より,色覚の多様性を考慮し,「バリアフリーな色づかい」を目指します.具体的には,図版においては「色」のみに頼る区別は避け,ハッチングなどを併用し判別できるようにします.また,実験データ等の写真においては,可能な場合は色変換を行います.また,色変換が不可能な写真の場合は,このサイトの「細胞工学」のページに,各色チャネルのグレースケール画像を掲載することにより対応いたします.なお,グレースケール画像がWebに掲載してある記事には,「細胞工学」誌の記事中にバリアフリーマーク(*2)を付けてあります.以上により,色覚タイプによらない色づかい(=色覚バリアフリー)を目指します.
色覚バリアフリーの詳細に関しましては,7月号から9月号掲載予定の連載「色覚の多様性と色覚バリアフリーなプレゼンテーション」(岡部正隆,伊藤啓著)をご覧下さい(各回,本誌発売後にPDFファイルがダウンロードできます→「細胞工学」7月号,8月号,9月号へ).
(*1)
「色覚タイプ」,「色盲」という語句の使用に関しては,「色覚の多様性と色覚バリアフリーなプレゼンテーション」の第1回(7月号掲載)をご覧下さい.
(*2)