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分子生物学の誕生(上)

シリーズ:
細胞工学  > 細胞工学別冊

細胞工学別冊  分子生物学の誕生(上) 奇跡の年1953年

著:
鈴木理(産業技術総合研究所)
頁数:
180ページ
定価:
3,080円(税込)
発行年月:
2006年01月01日発行
ISBN_10:
4-87962-343-1
ISBN_13:
978-4-87962-343-0

月刊「細胞工学」で2年以上にわたって掲載された好評の連載に加筆し,上下2分冊して単行本化された.上巻では,ノーベル化学賞アーロン・クルーグ博士とのインタビューや他の科学者の回想録をもとに,二重らせん発見にまつわる秘話からタンパク質立体構造の解明,生命情報科学までを振り返る.分子生物学の50年の歴史を通して,生命科学研究とは何かを考えさせられる一冊.

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第1部 DNA二重らせんモデルの誕生
第1章 4人の主人公
はじめに
1949年
ブラッグ対ポーリング
4人の主人公:クリック,ワトソン,ウィルキンス,フランクリン

第2章 相補性
四重奏
αヘリックスの呪縛
相補性

第3章 情熱の勝利
1953年のユーレカ!
ワトソン著「二重らせん」とBBC制作「ライフ・ストーリー」
情熱の勝利
コラム1:ワトソンの貢献―塩基対
コラム2:クリックの貢献―単斜晶系C2空間群

第4章 空想の産物
“水分子はどこに?”
空想の産物
コラム:フランクリンの功績―パターソンマップ

第2部 タンパク質立体構造の決定
第1章 あてのない大航海
存在しない? アミノ酸配列
あてのない大航海
バナール,ペルーツ,ケンドリュー
ペルーツ:ブラッグとの出会い
第二次世界大戦
コラム1:サンガー,そしてギルバート
コラム2:サイクロール説
コラム3:木村資生の中立進化説
コラム4:アラン・ホジキンとレーダー研究

第2章 輝くαへリックス
αヘリックス
“怒れる”マックス
コラム1:ポーリングの折り紙モデル
コラム2:らせんのらせん
コラム3:ブラッグの式とエヴァルト球
コラム4:靖国丸の欧州脱出

第3章 重原子同型置換法の夜明け
夜明け前
1953年の転換
1954年の焦燥
コラム1:ブラッグのアイデア
コラム2:重原子同型置換
コラム3:ドロシー・ホジキン(1910~1994)
コラム4:バイフートのもう1つの貢献─異常分散法

第4章 林立する原子の森
林立する原子の森
1962年の栄光
タンパク質の立体構造は“わかった”のか?
ケンドリュー:ヨーロッパの復興
ボーア効果
コラム1:タンパク質の安定化機構と熱安定性
コラム2:ニューラル・ネットワーク
コラム3:サイラス・チョーティアとピーター・ポーリング
コラム4:直接法─1957年のクルーグ博士の試み

第5章 ボーア効果の解明を目指して
ペルーツの使命
分子肺
生命の第2の秘密
コラム1:パリ解放とジャコブ,モノー
コラム2:王立研究所とリゾチーム

第6章 生物多様性の解明と医学への貢献
ポーリングとのもう1つの競争:分子病と分子進化
ペルーツとケンドリュー
ペルーツともう1つの分子病
コラム1:ゾウのヘモグロビン,ネズミのヘモグロビン,恐竜のヘモグロビン
コラム2:もう1つの50年,筋収縮のスライド説

第3部 生命情報科学への道
第1章 バベッジのエンジン,フォン・ノイマンの夢
EDSACの誕生
ハートリーの微分解析機
フォン・ノイマンの夢
コラム1:チューリング・ボンブとコロッサス
コラム2:バベッジのエンジン

第2章 情報への“20の扉”
遺伝情報と遺伝コード
シャノンの情報量
もう1つの対数形式
マクスウェルの“有限の存在”
カール・ポパーの攻撃
コラム1:熱力学第二法則
コラム2:マッハとボルツマンの継承者たち

第3章 デルブリュックの見果てぬ夢
1928年のゲッチンゲン
ウィーンからの声
コペンハーゲンの“光と生命”
グリーン・パンフレット
ベルリンの“神々の黄昏”
デルブリュックの進化論的認識論
コラム1:シュレーディンガー対ハイゼンベルグ
コラム2:アルゴリズム情報量
コラム3:チューリング・マシーンの計算可能性
コラム4:デルブリュックと仁科芳雄

第4章 チューリングのついたて
ウィーナーのサイバネティクス
チューリング・テスト
フォン・ノイマン・マシーン
コラム1:ホメオティック遺伝子
コラム2:1997年の人工知能
コラム3:地上にいる宇宙人,その名はハンガリー人

第5章 シュレーディンガーの新法則
負エントロピー
エントロピー対自由エネルギー
非周期性の結晶
生命の世界の物理法則
構造と情報と生命
生命の普遍性
生命情報科学の使命
コラム:アインシュタイン─驚異の1905年と分子論

第4部 科学を支えた人々
第1章 パラダイス・ロスト
研究者のパラダイス
パラダイス・ロスト
ウィーバーと分子生物学,情報科学の誕生
コラム1:X線結晶学の誕生
コラム2:シュレーディンガーと藤原咲平,湯川秀樹
コラム3:ミカエリスが観た大正の日本

第2章 人生をかけた研究
ひとにぎりの人間のまったく正しい決断
人への投資
人生をかけた研究
結語
コラム1:分子医学の光と影─昆虫の変態と第三帝国
コラム2:ケンブリッジ・マインド─ポパーとヴィトゲンシュタインの論戦

下(内容予定)
第5部 生体高分子集合体をめぐる“探検”
第1章 激動の世紀:1953年以前
第2章 1953年
第3章 ウイルスの時代:1954年~1961年
第4章 三次元再構成から形態形成へ:1960年代
第5章 tRNAの立体構造:1960年~1974年─リッチとの競争の始まり─
第6章 ヌクレオソーム:1974年~1982年─リッチとの競争の結末─
第7章 ジンクフィンガーのDNA認識:1980~1990年代
第8章 21世紀のDNA二重らせん
第9章 ヒトゲノム配列の決定:サルストン対ベンター

第6部 生命科学の未来とその源流
第1章 3つの“奇跡”
第2章 孤立と独創