【特集】
序説 ● 蒲田敏文

　画像診断2005年3月号に“肝良性腫瘍および腫瘍類似病変の画像診断”という特集を企画してから9年が経過し，肝の良性腫瘍の診断は肝細胞性造影剤（Gd-EOB-DTPA）や免疫組織学的診断法の出現により，新たな局面を迎えている．特に肝細胞腺腫は，2010年の新WHO分類を反映した免疫組織学的診断法の導入により，4つの亜型に分類された．それによって，従来，限局性結節性過形成（focal nodular hyperplasia；FNH）の一亜型とされてきた病変が腺腫に分類されるなどしたため，臨床の現場では混乱も生じている．筆者自身も大学で，肝細胞腺腫や限局性結節性過形成，あるいは結節性再生性過形成（nodular regenerative hyper­plasia；NRH）の症例などの画像診断を行っているが，画像のみでは診断に迷うことも少なくない．
　前回特集からの画像診断ならびに病理組織診断の進歩を踏まえ，今回，“肝良性腫瘍および類似病変の病理・画像診断update”と題して，再度企画することにした．肝の良性腫瘍および腫瘍類似病変は種類が多く，画像所見も悪性腫瘍と類似するものもあり，正確な画像診断を行うことは大変骨が折れる仕事である．しかしながら，本特集を読破してもらえれば，知識の整理が明確となり，明日からの診療に役立つものと確信している．また，本特集を読んで “肝の画像診断は難しいけど面白い”と興味をもってくれる若い医師が増えてくれることも密かに期待している．

肝良性腫瘍の病理診断 ● 原田憲一
肝嚢胞性疾患 ● 山田 哲，角谷眞澄ほか
肝血管腫および血管腫類似病変 ● 松崎健司，竹内麻由美
限局性結節性過形成 ● 宮山士朗，寺田卓郎ほか
肝細胞腺腫とFNH-like nodule ● 米田憲秀，松井 修ほか
肝血管筋脂肪腫 ● 小坂一斗，小林 聡ほか
肝血行異常に伴う結節性病変
─結節性再生性過形成（NRH）を中心に─ ● 北尾 梓，小坂一斗ほか
肝偽病変 ● 小林 聡，蒲田敏文ほか
その他の良性肝腫瘤 ● 吉田耕太郎，吉川 淳ほか


【連載】
すとらびすむす
フランス考 ● 樋口順也

画像診断と病理
異所性気管支原性嚢胞 ● 荒木久寿，吉田理佳ほか

ここが知りたい！
画像診断2014 年9 月号特集
「エキスパートの診断過程を学ぶ腹部画像診断」● 島 英樹，小山 貴

Picked-up Knowledge from Foreign Journals
肺感染症の画像診断 ● 小野修一

CASE OF THE MONTH
Case of February ● 馬ノ段智一，内匠浩二ほか
The Key to Case of December ● 牛見尚史

英語発表は怖くない
第8回 ● 前田恵理子

おさえておきたい！ PET/CT診断のポイント
第2回 PET/CTを正しく診断するための基礎知識 Part 2 ● 北島一宏

Refresher Course
内耳の造影MRI による内リンパ水腫画像
─ その撮像と評価について，いま放射線科医が知っておくべきこと─
● 長縄慎二