拡散MRI
─基本から最近の進歩まで─
序説 ● 青木 茂樹
今月は,拡散MRIの基礎から臨床応用を含めた最近の進歩までをoverviewできるような特集を企画した.拡散強調像は,MRIの重要なコントラストの1つで,脳梗塞ばかりではなく体幹部でも広く臨床に応用されている.拡散強調像のコントラストを変化させる要因を,組織の構造やその変化と関連して理解しておくことは重要である.組織の変化と拡散強調像における信号変化を理解する上では,撮像法や解析法の知識もある程度必要となる.拡散強調像は撮像法,解析法とも発展途上で,なじみのない者にはdiffusion≒confusionと思えることも多いが,画像診断をもっぱら行う者が,他の分野を専門とする者に正しい解釈を伝えることで,拡散MRIの臨床的意義が上がっていく.原理を理解してそれに基づく確実な情報を画像から引き出して行くことは,画像診断の基本であるので,多少難しいところがあってもおつきあいいただきたい.
本特集が,まだ途上のコントラストである拡散MRIを自在に操り,画像診断医が臨床・研究の強力なツールとして拡散MRIを使っていただく一助となれば幸いである.
MRIによる水の拡散の観察 ● 井藤 隆太
拡散MRIのコントラストメカニズム ● 押尾 晃一
頭部・頭頸部の拡散強調像の臨床:総復習 ● 田岡 俊昭
拡散テンソル画像および温度測定 ● 山田 惠,酒井 晃二
q space imagingとdiffusional kurtosis imaging ● 堀 正明,鎌形 康司ほか
腹部における拡散MRI−IVIMイメージングをやってみよう− ● 本杉 宇太郎,若山 哲也ほか
肝胆膵の拡散MRI ● 五島 聡,川田 紘資ほか
乳房の拡散MRI ● ウッドハムス 玲子,秦 博文ほか
泌尿生殖器の拡散MRI ● 藤井 進也,福永 健ほか
連載
すとらびすむす
下手なりに ● 吉岡 邦浩
画像診断と病理
肝硬化型血管腫 ● 小島 寿久,山田 鉄也ほか
ここが知りたい!
画像診断2013年1月号特集
「小児のcommon diseaseの画像スペクトラム−そうだったのか,小児画像−」 ● 山口 善道,上條 崇裕ほか
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
神経放射線 ● 菅 信一
CASE OF THE MONTH
Case of June ● 掛端 伸也,小野 修一
The Key to Case of April ● 対馬 史泰,小野 修一ほか
Refresher Course
拡散MRIにおける灌流の影響 ● 梅沢 栄三