【特集】
序説 ●宇都宮大輔(横浜市立大学大学院医学研究科放射線診断学教室)
心臓の画像診断は放射線科の仕事の全体からみるとかなり少ない,ある意味ニッチな領域といえます.循環器内科の医師が主に担当している施設も多く,放射線科医がついつい“距離を置いてしまう”分野という側面もあります.心臓CT,心臓MRIは読影したことがないという方も結構な数いらっしゃるのではないでしょうか.
それでは,心臓の画像診断は放射線科医の中でどのような立ち位置になっていくのでしょうか.ひとつのエポックメイキングな出来事は,北米放射線学会(Radiological Society of North America;RSNA)が2020年にRadiologyの姉妹誌としてRadiology Cardiothoracic ImagingとRadiology Artificial Intelligenceを新たに発刊したことだと思います.RSNAが中心となって放射線医学の世界の潮流が決まっていくといっても過言ではないでしょう.そのRSNAが心臓の画像診断は放射線科医が行うべき,と宣言したと認識しています.つまり,もはや好むと好まざるとにかかわらず放射線科医は心臓の画像診断にかかわるべきであるといえます.
しかし,急に読影を始めるとしても,どこから手を付けるか戸惑うこともあるでしょう.また,新型コロナウイルスの影響で2020年からは学会や研究会という臨場感のある学習の場が失われてしまいました.
そこで,本特集では主に教育的な内容を取り上げ,commonな疾患を中心にどのように読影レポートを仕上げていったらよいのか,そのための基本となる知識は何かを概説することで,心臓の画像診断に馴染みの薄い読者がレポートに取りかかるきっかけになるような内容を目指しました.執筆者の先生には,教育的ではありながらも,通り一遍ではないプロフェッショナルのエッセンスを盛り込んでいただきました.読者の皆様には,本特集を通じて学会や研究会に参加しているような臨場感を感じることができるはずです.そして,後半部分には少し“尖った”内容として近年の心臓CTと心臓MRIのトピックを取り上げ,最終的には初学者から循環器画像診断に馴染みのある方にまで楽しんでいただける一冊になったと思います.
この一冊を傍らに,是非とも心臓の画像診断をはじめてください.
序説 ● 宇都宮 大輔
心臓の解剖 ● 宇都宮 大輔
心臓CT読影の目の付けどころ ● 細川 貴晶,田邊 裕貴ほか
心臓MRI読影の目の付けどころ ● 加藤 真吾,福井 和樹ほか
心臓核医学読影の目の付けどころ ● 福島 賢慈,関野 啓史ほか
心臓CT,心臓MRIのアーチファクト-ピットフォールに落ちないために- ● 髙藤 雅史,永田 幹紀ほか
心臓CTのトピック:心臓周囲脂肪と冠動脈疾患 ● 星野 昌弘,角田 恒和
心臓MRIのトピック:心アミロイドーシスを中心とする心不全パンデミック ● 尾田 済太郎
【連載】
すとらびすむす
狭山茶どころ情けが… ● 馬場 康貴
画像診断と病理
紡錘形細胞脂肪腫 ● 上原 はるか,石川 浩志ほか
ここが知りたい!
画像診断2022年1月号特集
「これで確定!? 画像をみて,ふと立ち止まる瞬間」
● 木口 貴雄,星合 壮大ほか
Picked-up Knowledge from Foreign Journals
小脳脚 ● 森 墾
CASE OF THE MONTH
Case of June ● 石本 聡史,井藤 隆太ほか
The Key to Case of April ● 永澤 安子,土屋 桂子ほか
読影レポートLesson
肝胆膵脾編 「肝腫瘤」 ● 市川 新太郎,五島 聡
Refresher Course
PET/MRIの展望−PET/CTと比較した最近の進歩− ● 野上 宗伸