序説 ● 福田 国彦
近年，アミロイドーシスの基礎的・臨床的研究が進み，2010年には「アミロイドーシス診療ガイドライン2010」が発表された．そこで，画像診断医が知っておくべきアミロイドーシスの最新知識を整理し学ぶことを目的に，本特集を企画した．
まず，総論を臨床と病理の側面から執筆をお願いした．臨床では，アミロイドーシスに関する調査研究班の研究代表を務める山田正仁先生に，アミロイドーシスの臨床と疫学など基礎的事項を，「アミロイドーシス診療ガイドライン2010」に沿って解説をお願いした．限局性アミロイドーシスでは，高齢者に見られる脳アミロイドーシスを取り上げた．脳血管へのアミロイド沈着で起こる脳出血や白質脳症は脳アミロイドアンギオパチーとして知られ，臨床所見とCT・MRI所見が比較的特徴的である．全身性アミロイドーシスでは，呼吸器，心臓・血管，腹部臓器および骨・関節・軟部などにアミロイド沈着が起こる．“呼吸器”では，肺野の結節，広義間質の肥厚，気管・気管支壁肥厚と石灰化などが起こる．“心臓”では，心筋へのアミロイド沈着が不整脈や心機能不全を惹起し，アミロイドーシス患者の予後に大きな影響を与えることが知られている．“腹部臓器”では，アミロイド沈着により肝脾の腫大，腎の腫大や萎縮，消化管の壁肥厚などを来す．これらの所見を，CT・MRIと超音波検査に分けて，それぞれの画像の特徴について解説をお願いした．“骨・関節・軟部”では，特に長期透析によりアミロイド関節症，手根管症候群，透析脊椎症などを来すことが知られている．
アミロイドーシスが全身疾患とはいえ，本特集に合致した症例を臓器別に集めるのはそう容易なことではない．無理を承知の上での編者の依頼に，快く応えていただいた執筆陣の皆様に，深く感謝申し上げる．本特集がアミロイドーシス関連疾患に遭遇した時に大いに役立つことを祈っている．


アミロイドーシスの臨床 ● 山田 正仁
アミロイドーシスの病理 ● 大橋 健一
脳アミロイドアンギオパチー ● 石塚 理子，井田 正博
アルツハイマー病とアミロイドーシス ● 德丸 阿耶
呼吸器 ● 山城 恒雄，栗原 泰之ほか
心　臓 ● 河野 淳，西井 達矢ほか
腹部：CT・MRI ● 大田 信一，古川 顕ほか
腹部：超音波診断 ● 宗像 浩司，尾上 薫ほか
骨軟部 ● 稲岡 努，北村 範子ほか
連載
すとらびすむす
絶滅危惧種とならないために─人材交流のススメ─ ● 山田 惠

画像診断と病理
気管支内脂肪腫 ● 渡嘉敷 唯司，狩野 麻実ほか

ここが知りたい！
画像診断2012年5月号特集
「advanced MRI/CTの臨床応用と近未来」 ● 山元 龍哉，木村 浩彦ほか

Picked-up Knowledge from Foreign journals
妊娠女性における急性虫垂炎のMRI診断 ● 片岡 正子

CASE OF THE MONTH
Case of October ● 山 直也，佐藤 大志ほか
The Key to Case of August ● 兵頭 秀樹，鷲尾 嘉一ほか

Refresher Course
腎不全とくに長期透析患者の画像診断 ● 黒﨑 敦子